【太陽光発電投資のはじめかた・初級編】FIT制度(固定価格買取制度)とはなんなのか
FIT制度(固定価格買取制度)は、再生可能エネルギーの普及を目的とした取り組みのひとつです。
太陽光発電などの再生可能エネルギーを利用し、発電した電気を売る。これらを投資として始める方が増えています。すでにFIP制度へ切り替わっていますが、中古物件であれば、FIT制度の物件を入手することが可能です。
確実かつより多く収益をあげるためにも、FIT制度(固定価格買取制度)についての理解を深めていきたいと思います。
FIT制度(固定価格買取制度)とは?
FIT制度(固定価格買取制度)は、太陽光発電による再生可能エネルギーを使って発電した電気を、一定期間、国が定める価格で電力会社に売電できることを定めた制度です。
地球温暖化や環境汚染が世界的に進んでしまっているなか、世界各国での対策が求められています。FIT制度はこれらの問題への取り組みのひとつとして始まりました。現在も、石油や石炭などの有限資源を利用した発電方法が主力となっていますが、石油や石炭などは、二酸化炭素などの有害物質を発生するため、地球温暖化対策としては適切ではないと考えられています。
一方で太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーは、発電する際も有害物質を発生させることがないクリーンなエネルギーです。
再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)とは?
電気代を支払う全ての人から毎月の電気代に上乗せして集めているのが再エネ賦課金です。個人法人の括りなく、再エネ賦課金を支払う義務があります。再エネ賦課金は1kWhあたりの単価で決められており、2021年5月以降の再エネ賦課金は、1kWhあたり3.36円となっています。
再エネ賦課金は、電力会社が再生可能エネルギーを買い取る際の費用として使用されています。電気使用量が多ければ多いほど再エネ賦課金は増加するため、負担が大きすぎるということが問題視されていました。
FIT制度にあった問題点とは
◆◆◆ 問題点1、売電価格の低下 ◆◆◆
FIT制度(固定価格買取制度)が始まった2012年当初の売電価格は1kWhあたり40円です。
太陽光発電の普及や、設備費用が低下していくにつれて売電価格も低下してきました。
2022年の産業用太陽光発電の売電価格は10〜11円、住宅用太陽光発電の売電価格は17円となっています。
◆◆◆ 問題点2、2019年問題 ◆◆◆
FIT制度に移行する前の制度である「余剰電力買取制度」の対象となっていた10kW未満の住宅用太陽光発電の固定価格買取が2019年11月をもって終了しました。はじめて買取期間が終了となった2019年11月以降、各電力会社が太陽光発電パネルで発電された余剰電力の買取価格や加入条件などの発表を行っています。しかしながら、「余剰電力買取制度」がはじまった当初は、48円/kWhという高額で買取を行っていましたが、これまでと比較して買取価格が大きく下がることが問題視されました。
資源エネルギー庁によると、2019年に買取終了を迎える太陽光発電設備は、11月・12月だけでも約53万件にのぼると見込んでおり、そのあとも毎年数万件単位で買取終了を迎える世帯が出てくると発表しています。
買取期間が終了し、「2019年問題」に直面した方々の対策は大きく分けると以下の3つです。
① 大手電力会社・新電力と安い価格(10円以下)で売電契約を結び直す
② 従来通り昼間の自家消費を行い、昼間の電気だけを使用する
③ 蓄電池を設置し余剰電力を蓄えて、発電できない夜間に使用する
コストがかかってしまうというデメリットがありますが、蓄電池を設置すれば蓄えた余剰電力を夜間に使用でき、自家発電した電力を余すことなく使うことができます。買取そのものも継続できますが、買取価格が大幅に安くなりました。そのため、発電した電気を安い価格で売るよりも、自分たちで使おうとする人が増え、電気を蓄積できる「蓄電池」に注目が集まりました。
◆◆◆ 再エネ賦課金の国民負担が増えてきている ◆◆◆
前述通り、2021年度の再エネ賦課金は1kWhあたり3.36円ですが、再エネ賦課金の徴収が始まった2014年は1kWhあたり0.22円です。単純計算として国民の負担が15倍に増えてしまいました。再エネ賦課金が値上がりしている背景には、再生可能エネルギーを利用した発電による電気の買取総量が増えていることにあります。
昨今の社会情勢も含み、電気代が高騰するというニュースをよく見聞きするようになりました。これもまた再エネ賦課金の値上がりや燃料費の高騰が関係しているのです。
環境省によると2030年頃までは再エネ賦課金の値上がりは続くと予想されています。
太陽光発電のFIT制度・売電価格の推移
前述してはいますが、FIT制度は下記表の通り年々低下してきました。
住宅用太陽光発電 | 産業用太陽光発電 | |
2012年 | 42円 | 40円 |
2013年 | 38円 | 36円 |
2014年 | 37円 | 32円 |
2015年 | 33円(出力抑制なし) 35円(出力抑制あり) |
29円 |
2016年 | 31円(出力抑制なし) 33円(出力抑制あり) |
24円 |
2017年 | 28円(出力抑制なし) 30円(出力抑制あり) |
21円 |
2018年 | 26円(出力抑制なし) 28円(出力抑制あり) |
18円 |
2019年 | 24円(出力抑制なし) 26円(出力抑制あり) |
14円 |
2020年 | 21円(出力抑制関係なし) | 13円(10kW以上50kW未満) 12円(50kW以上250kW未満) |
2021年 | 19円(出力抑制関係なし) | 12円(10kW以上50kW未満)11円(50kW以上250kW未満) |
2022年 | 17円(出力抑制関係なし) | 11円(10kW以上50kW未満) 10円(50kW以上250kW未満) |
気になるのは、2022年度の売電価格11円(50kW以上250kW未満の産業用太陽光発電)でも、初期費用が回収できて収益をあげることができるかどうか。2022年の価格はこれから売電権利を取得する太陽光発電です。現在市場に出回っている太陽光発電は2021年以前の売電価格で売電権利を取得している太陽光発電所となります。
わたしたちエネ見るでおすすめしている中古物件であれば、現状でも売電価格は12円以上であり、収益予測もしっかりと立てた上でおすすめしています。特に初心者の方が太陽光発電投資を始めようとされるならば売電価格が12円以上(50kW以上の太陽光発電)の発電所の取得をおすすめいたします。